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ヒートローラーの試作開発ストーリー【開発技術課】
開発ストーリー
2023.10.27
先日より開始した開発技術課の当ブログですが、早速第2回目の更新です!
まだ前回の記事を読んでいないという方はぜひ第1回【ステータコア編】もご覧ください。
第2回の特集は長尾工業株式会社様よりご依頼いただき、試作の製作から量産の受注まで石坂電器の開発技術課で協力させていただいた【ヒートローラー用巻線】です。
今回も試作担当者へ取材した開発ストーリーをインタビュー形式でご紹介いたします!
また本記事の作成に関し、掲載の許可をくださった長尾工業株式会社様へ厚く御礼申し上げます。
まず、長尾工業株式会社様へ試作納入した製品がこちらになります。
※画像はサンプル品です
──はじめに、【ヒートローラー】とは、いったいどのような製品なのでしょうか?
サーマルプリンター(印刷機)等に用いられる部品です。仕様の詳細はお話出来ませんが、やはり熱することが目的となる巻線であることから、電気抵抗率が高く電熱線として優れた性質の*¹ニクロム線、そして耐熱性や電気絶縁性の高い*²マイカ、ベースとなるシャフトの三つをメインパーツとして巻線・組立した製品となります。
*¹…主にニッケルやクロムから成る合金。電気抵抗が大きく、高温強度にも優れている。
*²…雲母(うんも/うんぼ/きらら)とも呼ばれる天然の鉱石。耐熱、絶縁性に優れながらも薄く剥がれることが特徴で、様々な分野で活用されている。
──長尾工業株式会社様との出会いの経緯を教えてください。
長尾工業株式会社様より「ホームページを見た」とお電話でお問合せいただいたところからご検討が始まりました。
そのあとすぐに工場見学へお越しくださり、弊社を気に入っていただけたようです。
──数ある会社の中で、弊社に試作を任せていただいた理由はなんだと思いますか?
はじめに工場見学で弊社の設備や人をしっかりと見ていただけたことが大きかったように思います。それから職人による巻線のノウハウの高さでしょうか。少量多品種で対応していた事もあり、電線種に合わせてテンションや、スピードを調整する事ができるため、今回のヒータロータ用の巻線にマッチできた事が決め手となったようです。
また、長尾工業株式会社様のお取引先に、弊社が別の商権でも繋がっている企業がいらしたためにアドバンテージが高かったのだとも伺っております。
──受注が決定してから完成・納品までのスケジュールを教えてください。
試作のご注文を承ったのが5月下旬で、それから5個の試作品を6月末に納めました。
その後7月初旬に試作品のうちの1個に不具合が発生したとの連絡を受けたため、3日後に再度試作したものを長尾工業株式会社様へ納めております。
──完成までの過程で、苦労したことはありましたか?
テープ状のマイカはその薄さから簡単に折れてしまうことが最初の難関でした。シャフトへの巻き付けに成功しても、何枚も重ねていくうちにどんどんずれていってしまうので調整も大変で。
また、ニクロム線も緩みやすく、シャフトに巻き付けていると段々線が滑ってしまい図面で定められた間隔(線同士の距離)を埋めてしまうため、最後に線を固定するまでは常に細心の注意を払いながら製作していましたね。
──最後に、今回の試作品に関して、担当者の総合的な評価をお願いします。
弊社では取り扱い経験のないニクロム線を用いるとの指定だったため、私もその性質を改めて学び直すところから始まりました。マイカも同じく扱ったことが無かったので、何度もトライアンドエラーを繰り返した末にようやく巻きと固定のコツを掴んだという形です。
ちなみに、製作当時は全力を尽くしたこちらの試作品ですが、現在の自分から見ると70点程度の出来ですね…。習熟度がまるで足りていないので。今だったらもっと上手く巻けると思うと悔しいです。量産品を出荷する際にはもっと上手に巻いたものを納めます!
いかがでしたか?
石坂電器ではモータ等の電動機器に知見の深いスタッフが、創業以来培ってきた巻線事業のノウハウでモータの新規開発や試作を承っております。
試作案件に関して少数でも対応出来る体制をとっておりますので、モータを数個試作してみたいなどのご要望がありましたらぜひお問合わせください🐧
既存品の改善(構造変更、小径化、コストダウンほか)に関するご相談も大歓迎です。
石坂電器のモータ事業や開発試作に関する詳細はこちら
ご相談・お問合せはこちらからどうぞ!
結びとなりますが今回のご依頼及び本記事の作成にご協力くださった、長尾工業株式会社様、本当にありがとうございました!
今後も末永くお付き合いいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次回の更新も楽しみにお待ちください。
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